日本医療情報学会理事長である大江教授が所属する東大病院で電子カルテシステムトラブル。
(画像はIT Proから引用)
知らなかったのですが、年始から東大病院でシステムトラブルがあったのですね。
ブログ「NW屋的日常徒然日記」さんではじめて知りました。
東大病院電子カルテ導入トラブルのその後 - NW屋的日常徒然日記
そして記事はIT Proから。
東大病院は富士通に開発を委託し23年間利用した独自仕様の電子カルテシステムを刷新し、富士通の最新パッケージ「HOPE EGMAIN-GX」を導入。2018年1月2日に本稼働させた。だが外来診療を始めた4日以降、外来窓口が数日にわたり混乱。会計で長時間待たされたり、後日支払うよう求められたりする患者が続出した。
旧システムがオーダメイド主体のシステムだっとのことで、相当数のカスタマイズが加わっていたことは容易に想像できますね。そこからパッケージソフトの電子カルテへの切り替えはとても難しい作業だったでしょう。
ベンダーの富士通としてもこれまで東大病院からの様々な機能要望に応えてきたのだと思います。これがシステム更新の際に別ベンダーに変えられてしまうのはなんとしても避けたいのもわかります。だからといってパッケージソフトはカスタマイズできる部分は限られてしまいます。これまでの運用がそのまま新システムでは実現できないことも多いでしょう。
旭川医大とNTTの訴訟問題でも指摘されていましたけど、結局は病院側の内部でのシステム要求を取りまとめる能力と、ベンダー側との折衝能力の不足がこういった問題を起こしてしまうのでしょう。
旭川医大も東大病院もいずれも巨大組織。規模が大きすぎて組織としての意思統一を図るのは簡単ではなかったでしょう。中小病院ですら意見をまとめるのは大変なんですから。
なので組織の経営層トップや情報システム部門からのトップダウン的手法でないとうまくいかないかも知れない。現場の要求が通りにくくなってしまうけど、あれこれ意見を聞きすぎて、取捨選択できなくなり取りまとめできなくなるよりはよっぽどいい。
ベンダー側にも問題はあったのかも知れないけれど、改めて情報システム部門のプロジェクト管理能力というものがクローズアップされましたね。
そして、東大病院のシステム担当部長は日本医療情報学会の理事長、大江和彦先生です。医療とシステムについての専門学会のトップが所属する病院でのシステムトラブルというのもなんともまあ皮肉というかなんというか。
医療情報技師の勉強会に行ってきました
2月3日(土)に北海道大学クラーク会館にて行われた、北海道医療情報技師会勉強会と医療情報学会北海道支部学術集会に参加してきました。
約170人の参加があったようです。
北海道に上級医療情報技師は14人しかおらず、講演でも医療情報技師取得者への上級受験を推奨していましたが、試験の難しさはともかくとして、二次試験の会場が東京や大阪しかないことも要因のひとつではないかと感じました。受験者数が少ないので仕方ないとは思いますけどね。
今回の講師のひとりは私が以前つとめていた病院に入っていたベンダーさんで、当時交換した名刺もまだ持っています笑
他にも会場で面識のあるベンダーさんを何人か見かけることができました。
さらにはブロックチェーンについてわかりやすく講演いただき、とても勉強になりました。ブロックチェーンの技術をつかってビットコインが成立しているのですね。(いまさら)
しかし、この会合は受付さえしてしまえば医療情報技師の更新ポイントが与えられるため、途中で退席する人がとても多かったです。ちなみに私は最後まで参加しましたよ。
また、会の最後のプログラムが会員による研究発表なのですが、学生さんによる発表が多いです。そんな研究意欲のある学生さんの発表の時間には会場はすでに多くの途中退席によってガラガラに近く、せっかくの機会なのに可哀想だなーと、残念に思いました。
講師との兼ね合いもあるでしょうが、プログラム順について検討の余地があるのではないでしょうか。
総じていろいろと感じることができたし、刺激も受けました。
更新ポイントのコストパフォーマンスもいいですし、また次回も参加したいと考えています。研鑽は大事ですね。
部署としてのシステム管理部門の有無は大きな差がありますよね
こんにちは。ようやく年末から続いた体調不良(最終的には蓄膿症)が治りました!
まだ咳が出るけど、体がとても楽になりました。いままで本来の体力の4割減のような感覚だったもので。
今の病院でのシステム管理者としての位置付け
さて、私は中小規模の病院にシステム管理者として勤めていますが、組織としての位置付けとしては事務部の所属のため、総務業務も手伝っています。(電話応対に関しては他の事務員よりも積極的にやっている)
まあ規模の小さな病院なので兼務に関しては仕方のないことと理解はしています。
以前の職場でも総務課→医事課→総務課と転属になりましたが、システム管理という係が組織として存在しておらず、他の事務員と同じ職種扱いでした。
しかしながら、システム管理という仕事は専門職・技術職だと個人的には思っているし、当然、自分の仕事についてのプライドもあるわけで、単純に事務員と同じ括りにされてしまうことに違和感を感じていました。
組織として取り組んでいるか対外的にも判断される
以前、医療情報系の月刊誌に寄稿した際、自分の肩書きの少なさに焦りを覚えて医療情報技師を取得した経緯もありますが、同じように所属が事務部という点にも物足りなさを感じていました。
大きな規模の病院では医療情報部であったり、中小病院でもシステム管理課や管理室といった専門の部署がある施設は多いですよね。そして、そういった部署が確立されている病院はシステム管理の重要性を理解しており、システムに関して積極的に取り組んでいる印象を受けます。つまり、専門部署があるかどうかで対外的に評価されやすいということではないでしょうか。
同じ話をするにも事務所属で発信するのとシステム管理部門所属とでは説得力が違いますよね。(そう思うのは私だけですかね)
もうアラフォー。自分の価値を高めるためにどんどん動く
もうこの仕事を始めて18年になります。これまでのキャリアに誇りをもっているし、なにしろもうアラフォーですよ!おっさんです。なにかしらの肩書きや役職ないと寂しいよ(笑)
自分がやってきた仕事や実績に対して、当然もっと評価されたいと思っているし、どんどん自分からアピールしていかなきゃ損ですよね。
今までは縁の下の力持ち的な存在でひっそりとしていましたけど、もう遠慮しません。
まずは自分で自分の価値を過小評価せずに、自信を持っていきます。
理事長に直談判
なので、今回私は組織のトップである理事長にシステム管理部門の立ち上げを相談してみました。理事長は病院内のシステム委員会の委員長でもあるため、ある程度理解はしていただけるものと思っていますが、組織体系に影響することなのですぐにどうにかなるものではないとはわかっていますが、はたしてどうなることやら。
コインチェックによる仮想通貨流出事件の影響
どうもこんにちは。結局、鼻づまりと咳が治らず、受診したところ副鼻腔炎(蓄膿症)になっていた私です。抗生物質を処方してもらい、毎日飲んでます。
さて、先日そのしくみのことはよくわからないと記事で紹介したビットコイン。
その安全性を揺るがす大きな事件がありました。
目に見えない仮想のものだとしても、580億円流出って半端ない額ですよね。
コインチェックはCM露出もバンバンしていたし、そういった企業であれば当然、安全性は担保されていて、しっかりしているものと思い込んじゃいますよね。
それがこの流出騒ぎです。セキュリティ面での対策不足が糾弾されています。
流出させちゃう奴が一番悪いのは当たり前なんだけれども、流出させられちゃう方にも当然、責任はある。
仮想通貨は本当はこれからますます発展・浸透していく技術なんでしょう。
その仕組み上、まだまだ未成熟なところがあるからこういった事件も起こってしまうのは仕方ないとも言えますが、この件に関してはコインチェックの運営があまりにも稚拙なだったことも事実。この事件は仮想通貨の発展に大きな影響を与えることは間違いなく、少しずつ積み上げてきた世間のビットコインに対する信頼が崩れ去ってしまうことにもなりかねないです。
しっかりしてよね!
コインチェックは460億円を自己資金で補償するとのこと。これは立派。
ということは企業としてのそれだけの体力がまだ残っているってことですよね。いったい、どんだけ儲けているのですか(笑)
「macOS High Sierra 10.13.3」と「iOS 11.2.5」がリリース。CPU脆弱性「メルトダウン」に対応。
ビットコインのことはよくわからないが、ブロックチェーンを医療に活用すべきなのはわかる
正月明けに体調を崩してから、いまだに鼻水と咳が収まらない私です。今回のはほんとに長い。みなさんも体調管理にはお気をつけくださいませ。
さてさて、最近テレビCMでもよく見かける仮想通貨「ビットコイン」。
ビットコインを支える仕組みが「ブロックチェーン」なのですが、この技術を仮想通貨のみではなく、医療の世界に活用する動きが活発化しています。
では、ブロックチェーンの実体とは何だろうか。一言で言えば、仮想通貨の取引に関わるすべての参加者(コンピューター)が互いにその内容を共有し、正しさを検証し合える「台帳」である(図1)。
すべての取引情報を、ピア・ツー・ピア(P2P)と呼ばれる方式のネットワークに参加する各コンピューターがこの台帳に書きこむことを試み、PoW(Proof of Work)と呼ばれる計算競争を経て正当だと承認された内容を実際に書き込み、その内容を全コンピューターで共有していく。これによって、台帳の情報を空間的に分散管理し、改ざんや不正利用などのリスクを減らす。ある特定のコンピューターが持つ情報が失われても、ネットワーク上の他のコンピューターが管理する台帳の情報によって、もとの情報を正しく再現することが可能だ。AさんがBさんに10ビットコイン(BTC)を送金といった個々の取引に関する安全性は、公開鍵暗号と呼ばれる方式の暗号技術で守る。
この台帳にはもう一つ、大きな特徴がある。取引情報を記録していくブロックと呼ばれる単位、いわば台帳の1ページずつが、互いに鎖のように時系列につながった構造をしているのだ。あるブロックに含まれる情報を、ハッシュ値と呼ばれる値に変換して次のブロックに書きこむことでこの連鎖構造をつくる。ビットコインでは10分ごとに新しいブロックが台帳に書きこまれ、そのたびに鎖が伸びていく。ブロックをチェーンでつなげていくこの構造が、ブロックチェーンという名前の由来だ。台帳の各記録に時間的な連鎖性を持たせ、台帳を共有する全コンピューターでそれを検証可能にすることで、改ざんを極めて困難にしている。
かなり引用しちゃいましたが、要はすべてのやりとりをみんなで共有して管理しようというものですよね。ある箇所で不正に改ざんをされても他のコンピュータが管理している記録から不正を見つけ出すこともできる。そしてその記録のかたまりをブロックと呼び、そのブロックが連鎖的に関連付けられることによろい時系列的な管理も可能となるので、さらに改ざんすることが難しくなるというもの。
仮想通貨も医療記録も、不正や改ざんがあってはいけないものです。ブロックチェーンの技術を医療に応用しない手はありません。
医療の世界では、電子カルテシステムがようやくクラウドに対応してきたばかりです。しかもクラウドといってもその医療機関のみでしか使えない「閉じた」カルテです。
これからはパーソナル・ヘルス・レコード(PHR)を具現化していく時代。
クラウド型電子カルテシステムからブロックチェーン型電子カルテシステムの進化も当然期待されています。
2月3日に北海道大学クラーク会館で行われる、日本医療情報学会北海道支部の学術大会では、このブロックチェーンに関する講演が行われます。なんとタイムリー!目の付け所がいいね!
プロセッサの脆弱性「Meltdown」と「Spectre」の対策、続々リリース。
複数のセキュリティ研究者が発見した2つの脆弱性「Meltdown」と「Spectre」についてのまとめサイトが開設されています。
それにしても「メルトダウン」だなんて原発稼働国の私たちからしてみればとても恐ろしいキーワード。インパクト十分すぎます。
私たちにできる基本的な対応策としてはお使いのパソコンや機器などで、アップデートがリリースされた場合、速やかに適用することです。
すでに各社から脆弱性に対応したアップデートがリリースされてきています。
そんななかで、気になる続報も。
特に、IntelのHaswell(開発コード名)などを搭載した2015年代以前のPCについては、ベンチマークで相当の減速が確認されたといい、Windows 10では「一部ユーザー」が、Windows 8とWindows 7では「大部分のユーザー」が、パフォーマンスの低下に気付くだろうと予想している。
2015年以前のPCなんてまだまだ現役バリバリも多いと思いますが、脆弱性対策パッチを適用することにより、パフォーマンスが低下する影響が出るとのこと。しかしながらセキュリティとパフォーマンスというものは表裏一体。多少のパフォーマンス低下も、安全のためのトレードオフとして割り切ってもらいたいです。
話はそれますが、個人所有のPCを病院に持ち込んで使用している医師(お医者さんはそういうパターンが多いですよね)のPCに、セキュリティソフトをインストールさせてほしいと相談したら「それ(セキュリティソフト)、入れると何かいいことあるの?」と言われたことがあります。
わたし「いいことはないかも知れません。むしろデータ流出や破壊などの悪いことを防ぐためのものです。」
使い勝手ももちろん大事なんだけれども、万が一の事態に備えておくことで自分だけでなく周りへの影響も小さくすることができるのだから、そこはトレードオフの観点で行こうよ、とやりとりしたことを思い出しました。
追記:こんな記事もありました